今回はNaissanceE(steamストアページ)について。とても素晴らしいゲームでした。

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さきに断っておきますがNaissanceEはアドベンチャーゲームです。ストアページの動画がパズルを解いているためかどうも筆者の周りではパズルゲーム、もしくは雰囲気ゲームと認識していた人がいましたが違います。

繰り返しますがNaissanceEはアドベンチャーゲームです、冒険です。パズルだの雰囲気だのはそれを彩るものに過ぎません。


さて、このブログを読んでくださっている方にもNaissaneEを是非の是非、プレイして欲しくてこの記事を書くつもりでした。しかし、どうも、「このシステムがゲーム的にどうこう」といった明確に語る部分がなく、購買意欲を誘うようなものにはなりませんでした。

代わりに旅の記録ともいいますか、NaissanceEの要覧を記事にしました。

とりとめのない記事になってしまいましたが奇怪で惹かれるNaissanceEに触れる機会になれば幸いです。

概要

NaissanceEは一言でいうと異世界でのアドベンチャーゲームです。とりあえず例を挙げるなら不思議なトリックがAntichamber、不可思議な世界観がkairoといったところでしょうか。しかしNaissanceEはそのどちらとも違います。


NaissanceEでプレイヤーは、ゲーム内主人公を通して、冒険が出来るでしょう。


先述のantichamberやkairoに限らず、抽象的な世界が舞台というものはプレイヤーを世界から隔離し、プレイヤーは客観的な視点を取らされることが多く感じます。抽象的という印象はプレイヤーが自分と関わりの無い世界だと認識させてしまうからでしょうか?

さらにゲームによっては操作感がゲーム的であります。例えばsourceエンジンの滑り移動のように視界がぶれません。これもプレイヤーとゲームの壁であります。


対して本作は心地よい足の速さと、走るときの軽快な視界揺れや呼吸音を持ちます。さらにカートゥーン調というよりはリアルよりの綺麗なグラフィックもあいまってゲーム内の主人公とプレイヤーとを繋ぎとめる何かがあります。

これによってなのか、プレイヤーは抽象的ながらも現実世界の名残を留めるNaissanceE世界を主観的に入り込んでプレイすることが出来ます。主観的、能動的なプレイはアドベンチャーゲームでは大切なことだと筆者は考えます。


さらにNaissanceE世界について掘り下げます。

無機質で有機的なNaissanceE世界

NaissanceE世界のほとんどは四角、白、黒、灰色で構成されています。しかしモノクロ世界ではありません。わずかに調整された赤緑青のバランスによってNaissanceE世界は鮮やかに彩られます。

そのためか白は他のゲームよりも判然とした存在感を持っています。特に、灰色と黒の世界から急に白一色の小部屋に移されたときは、張り詰めた空気を感じ、背筋がひやっとしました。

こうした絶妙な色調整は、NaissanceE世界を構成し、微動だにしない無機物が確かに存在することを、プレイヤーに強く印象付けます。

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さらに色合いは物体に、プラスチックでもなく、大理石でもなく、鉄でもない、素材が分からないような質感を与えます。そのためか、綺麗なグラフィックが物体に現実的なリアリティを与えているにも関わらず、NaissanceE世界は違和感なく抽象的な印象を保ち続け、現実世界と距離を置くのです。

そうはいってもNaissanceE世界には断片的に現実世界を思わせるものが存在しています。例えば椅子とテーブルとカウンターがある部屋、窓を多数持つビルらしきもの、工場のように延々と同じ作業を繰り返す装置などです。

ほとんどは立方体などの無機的で、現実離れした、抽象的なものが、NaissanceE世界を構成しています。これによってか微妙に残された現実世界の残留物が不気味に見えてきます。全てが自動化されたNaissanceE世界にはかつて生命があったのか、どうなのか。

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今度は色ではなく形について述べます。先ほどから書いている通り、NaissanceE世界の多くは四角の集合です。もちろん多角形や円も存在します。しかしそれらも直線の輪郭と一定のカーブを描く曲線の輪郭のみを持ちます。

それに対して、岩や植物のような、無秩序な曲線の輪郭をもち、現実世界に無数存在する物質は記憶にある限りごくわずかです。さらに3次元の完全な円、つまり球の形をしたものも光る球体を除けば、(自信はないですが)見ることがありませんでした。

以上の形について述べた通り、NaissanceE世界は完璧主義かのようにまっすぐな線か綺麗に曲がる線のみで満たされ、建造物らしきものやら分けの分からないオブジェやらが出来ているのです。さらにそれらは等間隔もしくはある規則に則って丁寧に配置されていることも珍しくありません。

またその対称となるように散らかった立方体やら制御が効かない存在やらもありまして、NaissanceE世界の歪みを思わせます。何か語られないバックストーリーがあるようにも思えます。

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下は深い。飛び降りるのも自由

と、ここまで述べたようにNaissanceE世界は色、形ともにある規則からはみ出すことなく作り上げられています

ある決まりから外れずに目まぐるしく変化していくNaissaceE世界は一つの物語のようでして、本を読むのが楽しいように、能動的に進めていく楽しさがあるわけです。そして設定に忠実な物語は読みやすくあります。

逆にわずかに存在する規則をはみ出したものは、印象深く残るでしょう。前触れの無いイレギュラーは時にゾッとさせられます。

気難しい謎解き、険しい道のり

基本的にNaissanceE の謎解きは新しい道を見つけることにあります。例外的にある謎解きらしい謎解きもそこまで悩むこともないでしょう。そもそもUSEボタンが存在するのに使う機会がありませんでした。

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さてNaissanceEの謎解き、新しい道を見つけることですが少々難しく感じます。というのも新しい道が大体「意識しない場所」にあるためです。

「意識しない場所」とは、「気づきにくい」という意味で意識しない場所もありますが、プレイヤーが 「製作者が意図しない場所にいってしまうのではないか」 と勘違いしてしまうほどぎりぎりなルートを通る場所もあります。例えるならばSkyrimの無理やりな山(崖)登りでしょうか(あれは意図しない方ですが)。

しかし、これぐらいシビアだから良いのです。これぐらいシビアだからアドベンチャーなのです。冒険なのです。能動的に動く楽しさがあります。


冒険故に道も安全とは限りません。人間の肩幅ぐらいの道が、宙に浮かんでいるかのように、高いところに架かっていることが多々あります。そこから落ちることはまず無いはずですが不安定な足場はどこともない恐怖を誘います。少なくとも横を見ながら走るようなふざけたことはする気にならないでしょう。

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宙吊りの階段

純粋な冒険

ここまでくどく述べてきたようにNaissaceEは冒険であります。クリーチャーは出てきませんが道は険しく奇怪です。そして独特なNaissanceE世界は魅力的で、寂しげな美しさを醸し出しています。

NaissanseEは冒険物の物語であります。遅い時間が流れているように感じられるNaissanseE世界で主人公は一人、延々と駆け回り続けるでしょう。

このゲームを手にとった方は、本を一気に読み進めるように、ノンストップでプレイすることをお勧めします。

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